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「自分にも何かできそう。とにかく黙って見ちゃいられない」と、腰をあげた瞬間、“あなた”が、そして“わたし”がボランティアに変身、というと当たり前すぎるようですが、でもそれがボランティア活動の出発点なのです。
では、“ボランティア”という言葉は、本当はどういうことなのでしょうか。最近の日本では、もともとの意味もはっきりつかめないうちに日常会話に取り込まれ、言葉だけが一人歩きを始めてしまった気配もありますので、ここで確認しておきたいと思います。
このちょっと舌を噛みそうなカタカナ言葉(より英語に近くは“ヴォランティーア”)を、日本語でなんといえばいいでしょうか。
これが意外と難問で、数年前、ある全国紙が日本語訳を公募したことがありました。たくさんの訳語、提案が寄せられましたが、どれもこれも帯に短し、樫(たすき)に長し、「これだ」という表現が見当たらなかったのをおぼえています。その新聞紙上ではいまでもボランティアとカタカナ書きをしていますから、結局、いい訳語は見つからなかったのでしょう。
もっとも適訳というのは、表面的な意味の移し替えだけでなく、その言葉の“こころ”が伝わるものでなければなりません。さらにそれが、日常的に使われてるなかで生活実感を獲得し、まるみをおび、やっと生きた言葉としての味わいを深めていくのでしょう。
日本語の適訳がなかなか見つからない「ボランティア」ですが、おおもとの意味を確認し、さらにその「こころ」に触れてみることにしましょう。そのうえで、どんなすてきな日本語に置き直す

 

 

 

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